誰かに背中を押された…そんな気がした
次の瞬間、声が出た
なぁ、やめろよ、そういうの。
罵声と暴力を浴びせていた
獣たちが俺を睨み付ける
たくさんの観客がこちらを見ている
あ?お前さ、こいつの肩持つの??
…お前もこうなりたいのかよw
…いや、そんなことする暇あったら
購買のパン、買いに行けよ
もう、無くなるぞ?
…ちょっと買ってくるわ
獣たちは一斉に教室を飛び出した
あいつはびっくりしたように
その様子を見ていた
そいつらが去って安心したのか
小さく息をついた
…ありがとう。助けてくれて。
あいつはまた、へらへらと笑った
今にも泣き出しそうな顔だった
たぶん、俺は初めてあいつの笑った顔を見た。