どいつもこいつも小さな画面をした光る板を持ち始めた。
それを見てほとんど毎日を過ごしている。
通り過ぎる私になど目もくれず、足を踏みつけて詫びも無しに、自分よりもはるかに小さな板に依存している。
その目が人を真っ直ぐ見たのは一体何日前なのだろうか。
画面に食い付き、時に涙して、時に喜んで、時に笑って。
そしていじめが起こるのもこの画面上だと言う。
いつから人は変わったのだろう。
腕時計をしきりに確認して、好きなあの子が駅に来るのを今かと待って、走り寄って来たあの子に待った?と聞かれ、ううん、今来た所と返す。
こんな会話があの画面のせいでなくなった。
メッセージアプリで連絡して、あと何分で着く、と言えてしまう世界。
震える手で電話番号を打ち、あの子の家に電話をかけたけど、出たのはまさかのお父さんで、ひどく緊張してしまった。
こんな失敗談が言えなくなった。
電話なんて直接かけられる世界。
いつまで私達は小さな画面をした板に支配されるのか。
私にはわからない。
わからないけど、とりあえず、
私は君の目を見て話していたい。
だから、君も、ちゃんと私を見て下さい。
私を真っ直ぐ見て下さい。