ろうそく並木の水曜日 舞い散る火花で 拝むように暖をとる野ネズミたち 二時間前からベンチに座ったままの 黒いコートの女は 森の奥にある煙突から登る煙を ぼんやり見つめていた 鐘の音がする フクロウは眼をこらす やがてろうそくの火が ひとつふたつと消えてゆき 野ネズミたちは姿を消した そして並木道は白く染まり 女はこの町から姿を消した