友達二人が電車にのった。
私と彼とあいつで電車に乗った兄妹に手を振る。
私は、兄妹の乗った電車を追いかけた。
ホームの端っこまで。
まだホームの端っこではないと思ったとき、
ホームの地面がいきなり消えた。
「落ちる。死んだな。」
そう思ったとき、彼が私をヒョイっと持ち上げた。
何も言わずにただただ私を持ち上げた彼を
下から眺めた。
何も言わないし、顔には何の表情もでていない。
私は彼にひと言「ありがとう」と言った。
彼は私を脇に抱えたまま、何も言わない。
不思議な横顔をずっと眺めていた。
いや、ずっと眺めていたい。
そう思ったとき、
ピピピッ。ピピピッ。ピピピッ。
目覚まし時計が鳴った。
そう、この物語は夢の中のお話。
ただ私は、何も言わずに助けてくれた彼に恋をした。