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ベラルーシのおとなたち

 夜勤明け、家にはまっすぐ帰らずに、いつものコース。24時間スーパーでビールを買い、公園のベンチ。深く息を吸い込む。何年も変わらぬ毎日。新鮮なのは外の空気だけだな。と、アレクサンドルはつぶやいてビールを開ける。

 いまのような空気ができたのは、よくは知らないけど億単位のレベルの昔だ。そんな前からある空気のどこが新鮮なのだろう。

 目の奥が痛む。仕事中は、今日はまっすぐ帰り、すぐに寝ようと思うのだが。
 妻は子どもができてからすっかり変わってしまった。子どもができる前までは聡明だったのに。いまはなにを言っても通じない。話の内容ではなく、表情や態度にばかり注意を向けるようになった。ちょっとしたことで感情的になり、ぐちと文句ばかり。要するに、すっかりばかになっちまったってことだ。
 結局、生きるというのは、理屈ではないのだろう。

 子どもができるまでは、ああしようこうしようというビジョンがあった。いまは子どもに振り回されっぱなしだ。結局、生きるというのは、理屈ではないんだ。

 相性ばつぐんだって占い師に言われてそれがきっかけで親密になった。どこがばつぐんなんだよ。

 相性ばつぐんだって占い師に言われてそれがきっかけで結婚したのに。

 そろそろ帰るか。妻が朝食、俺にとっての夕食を用意して、不機嫌な顔で待っている。
 
 そろそろ帰ろう。子どもが起きてしまったかもしれないし。わたしがいなかったら主人が動揺する。

 こんな感じで、アレクサンドルとアレクサンドルの妻は公園をあとにする。入れ違いで、アンドレイとアンドレイの妻がべつべつにやってくるのだが、わざわざ描写するまでもないだろう。

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  • 作って頂いてありがとうございます、さんくすです
    このお話を読んで理解するまで時間がかかりました。すごいですね、理解した時おにょいっ!?ってなりました。

    とても深くて深くて、あったかいんだか冷たいんだか不思議な関係で......言葉で言い表すのがすごい難しい、そういう風に感じました。(語彙力が無くてごめんなさい)
    いやぁ...こんな創りにくいタイトルでよく作ってくれました、本当にすごいです。

    本当にありがとうございました♪