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世界一心の優しい少女の物語①

僕は世界一心の優しい少女を知っている。本人は僕を知らないだろう。しかし僕は彼女の本当の姿を知っている。決して変態ではない。見てしまったんだ。あそこへ行くところを。

僕は誰にも話していないが、道が見えるんだ。道と言っても普通の道ではない。なんと言えばいいのか分からないが、白い扉の向こうへ続く道。
夜、辺りが真っ暗になりシンと静まり返った頃。僕には辺りが真っ白になる。音はしないが、逆に言うと風の音も何も聞こえない。そこにさっきも言った白い扉があるんだ。形はとある青いロボットのアニメに出てくるようなドアの形。
そこにはたまに人が来るだけでほとんど変わりはない。でも、ここ最近特に人が来る様子はない。あの子以外は。
冒頭に話した少女。彼女は週1ペースでここに来る。寝ているのか起きているのか分からない顔で。僕はなぜここに来るのか、ここに来れるのか聞いてみようと思った。でも体が動かなかった。金縛りとは違う感じ。人形になったような。そんな感じ。
彼女には果たして僕が見えているのだろうか。
僕には分からない。当然動けないのだからその道の先に何があるのかも分からない。

次へ続く。

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