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世界一心の優しい少女の物語②

それが去年の僕。
今もそれは同じように見える。でも大きく変わったことがある。
彼女がここへ来る理由が分かったんだ。
ある日のこと。僕はいつものようにここに来た。
いつもと変わりない。そう思ってたけど僕はその変化に気づかなかった。
彼女は扉の前へ立ち、しばらく動かなかった。じっと見ていると扉が勝手に動いたんだ。そこから老人が出てきた。その老人は神父という感じだった。神父が彼女にかんむりのようなものを頭に乗せた。そして優しく笑いながらまた扉の向こうへ消えていった。
その時、パッと思いついた。
ー彼女は選ばれた。
そう確信した。かんむりを渡されたのだから当然だが、選ばれた理由も分かった。
ー彼女は世界一心の優しい人間に選ばれた。
なぜか僕はそう確信した。自分でも覚えていない。瞬間的に思いついたんだ。
彼女はそれからも毎日ここへ来て扉を開けてまた帰る。それを繰り返した。

そしてもう一つ変わったことがある。
僕も扉の向こうへ行けるようになった。

次へ続く。

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