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世界一心の優しい少女の物語③

これは最近のことだが、僕のもとに招待状が届いた。
開けてみると、「あなたもここに来て良い」とだけ書かれていた。
不思議に思いながら、夜を迎えると全身に巻かれていたひもがほどかれたようにスッと動けた。
ふらふらと扉の前に来る。そして恐る恐る扉を開けてみた。
そこには長い道があり、その先には前見た神父がいた。
そこにも音はなく、自分の足音すらも聞こえない。一人ポツンと立っていると神父がこっちに気づいた。逃げようと思ったがまた動けなくなった。これは自分の意思で動かなかった。ゆっくりこっちへ来ると手を差し伸べられた。手は動いた。
頭の中で声が聞こえた。
ようこそ。驚かないで。ここは選ばれた人しか来ることはできないから内緒にしておいて。
それだけ言われるとまたどこかへ消えていった。
僕は不思議な気持ちになった。

一週間経ったが彼女の姿を見なくなった。ここに来るのは僕だけだ。
何もないけど無性に来たくなる。だからここに通い続ける。夢なのか現実なのかも分からないこの世界に。
彼女みたいに選ばれるまで。

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