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もふもふ

 帰宅すると、お父さんがもふもふになっていた。
「そういうことだから」
 お母さんが言った。
「そういうことって、どういうこと?」
「お母さん、パートからフルタイムに切り替えるから」
「よく理解できないんだけど」
「だから、お父さんこんなんじゃ働けないでしょうが。あなた悪いけど、夏休みの短期留学はあきらめてもらうわよ」
「嘘でしょ。ずっと計画してたのに。やだよそんなの!」
「わがまま言わないで。大人になってからでも遅くはないでしょう」
「大人になってからじゃ遅いの!」
「いい加減にして……とにかくもふもふになっちゃったんだからどうしようもないの」
「お父さんのばかぁ!!」
「お父さんに何てこと言うの」
「もふもふじゃ何言ったってわかんないよっ」
 わたしは泣きながら自室に走り、ベッドに突っ伏した。
 いつの間にか眠ってしまったようだ。顔を上げると、もふもふになったお父さんが枕元にいた。
 呼吸に合わせてゆっくり上下するもふもふのおなかを見るうち、わたしの心に、責任感みたいなものが芽生えていた。
 とりあえずシャワーを浴びようと、お風呂に向かった。

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