庭に居たはずのシロクマがどこかへ消えていた。毎晩公園の噴水にでも通っているのか、朝は全身びしょ濡れだったから今日は拭いてやろうとタオルを持って来たのに。まあ、嘆くほどのことでもない。
次の日、もともとシロクマがいた花壇には、ペンギンが三羽。数は増えたが、シロクマに比べれば言うまでもないほど小さい。空を飛べない鳥だから、柵を乗り越えて窓からリビングに入ってくることもない。だが、ペンギンが"泣く"ということは知らなかった。近所から苦情が殺到している。まあ、嘆くほどのことでもない。
その夜、ペンギンたちも居なくなった。代わりに来たのは、青い金魚。金魚は水がなくても泳げるのだと、初めて知った。空中を呑気に泳いでいるので、問題は無いだろうと放っておいたら、翌朝には塀の外へ逃げていた。そうか、空気がある場所ならどこでも泳いでいけるのだ。まあ、嘆くほどのことでもない。
やはり、夢だったか。結構楽しかったのだけれど。
まあ、嘆くほどのことでも。