「貴方は…俺ですか」
「はぁ…?覚めたばかりで混乱しているのでしょうか。ゆっくりお休みください」
駄目だ。
でも、確信はある。
こいつは、絶対に俺の身体をのっとっていた。
ただ解らないことがひとつある。
怪我していた時はあいつの身体だったのに、目覚めた時は俺の身体。
夢だとは到底思えないが、色々と証明がつけられなかった。
次にあいつ…真月が来たのは、3時間後。
「体調は如何ですか」
向こうの質問など無視して攻め寄る。
「嘘を吐くな。お前は俺の中に入り込んで怪我をしたのち、俺から出て来て今ここに居る。
そうだろう?」
「…お身体の調子を伺いたいのですが」
向こうの口角が若干下がり、確信する。
アレは夢ではない。
「身体は大丈夫だ。
正直に言え。どうやって入り込んだ。何の為に」
彼から表情が抜け出る。
やっと真実を語り出す様だ。
「懐葵のこと、覚えてないんだ、…へえ?
まぁ今は僕の彼女だし、関係ないけどね?
あぁ……そっかぁ。
そうだもんね
お前…懐葵のこと忘れさせられちゃったもんね…」
そう言うと彼は
意味深な余韻を残して
そそくさと去っていった。