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対怪談逃避行4

「………どういうことですか?」
「君ねぇ、あんな化け物が、結末も分からぬまま野放しにされて、安心して生きていけるか?無理だろう?怪異に出会った際に注意すべき点の一つ、『怪異を存在させるのは恐怖と認識』だよ。びくびくしているばかりでは、奴はますます力をつけ、いずれは恐ろしい化け物……もうそうか。まあ、もっとヤバくなるかもなんだ」
「じゃあ、どうすれば!」
男が双眼鏡を指差しながら言う。
「それで見るんだ。君の家、ここから見える?多分、奴は今そこで、君を怖がらせようとしているはずだ」
私の住むアパートは、高台にある。ここから見ることは不可能じゃない。恐る恐る双眼鏡を覗いてみると、確かに居た。あの不気味な少年姿の何かが。部屋の戸を狂ったように手で叩いている。目が離せないでいると、急にキョロキョロし始めた。そして、私と目が合い、口角が吊り上がった。この双眼鏡の倍率の高さが憎らしくなる。『奴』が走り出した。明らかにこっちを目指している。
「あ……き、来て……」
「よし、じゃあ走るよ」
男が私の腕を掴み、立ち上がった。
「ほ、本当に行くんですか!?」
「勿論。多分あれは、道なりにしか進まない。だから、どんなに足が速くても少しは時間がかかる」
階段を降りながら男は私に説明してくる。
「あっちから来るんだよね?じゃあ、逃げるなら向こうだ」
男は団地の奥に向けて走っていった。私も後を追いかける。

  • 長編小説
  • 都市伝説(?)アレンジ
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