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つき (3) (Side 真月)

どうやら彼奴…龍樹は俺が入り込んだ事に気付いた様だ。
あ〜あ、もうちょっとだけ気付かれなければ上手く行ったのにな。
小豆を救う事が。
小豆は俺の猫だ。ちゃんと愛していたつもりなのに、つい最近身体の不調が目立つ様になった。
獣医に見せるも、時すでに遅し。
"この子の寿命は…5ヶ月持ったらラッキーだと思ってください。動物は強くありたいが為に自分の体の不調を自分から訴えないから初期発見は難しく、貴方のせいではないです"
嘘だ。
俺が悪い。
俺が…鈍感だから。
俺のせい。
駄目だ…
現実に苛まれながら寝たその日に、俺は不思議な夢を見た。

ねぇ、
あずちゃんだよ。小豆。
ねぇ、私ね、死んじゃうのはしょうがないと思うんだ。
だからね、最期に私の願いを聞いて欲しいな。
あず、好きな子が居るの。
近所の龍樹さんって人の猫で、ゆつきくん。
5年前に散歩してて出逢ったの。
うち、最期にゆつきくんに気持ち伝えてから逝きたい。真月にぃなら会わせてくれるよね?強いもん。

…目覚める。
起き上がると、足腰も弱くなって階段すらも登れない筈の小豆がベッドに上がってきていた。

まさか、ね

でも…

俺は計画を練り始めた。
龍樹の記憶を断片的に失くして行けるなら、ちょっとだけ"ゆづきくん"とやらを借りて来よう。
手始めに俺の龍樹の共通点…龍樹の元彼女と俺の彼女が同一人物なことを利用する。
いわば実験の様なものだ。
そして俺の勤務先が病院である事も。
彼女に仕掛け人を頼めば事故が起きる確率を増やせる。経過観察にも丁度良い。
その他にも、色々と。
俺の特殊能力をありがたいと思ったのもこれが初めてだ。
僅かながら理性は叫んだが、小豆は長く生きられないという事実が俺を駆り立てた。

《お詫び》
つき (2)でタグに『長編小説』いれるの忘れてました。すみません。

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