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〜二人の秘密〜長文なので暇なときに読んでいただけると嬉しいです。

部屋の扉から少し顔を出す。
「あっ。先生?……ちょっと相談があるんだけど。」
私の学校には寮があり、もう12時を回っている。
『何だ?こんな時間に。いくら“寮だから”と言っても遅すぎるんじゃないか?』
「うん。だから相談なんだってば…。」
『ほら、こっちに来い。他の教師に見つかるだろう?』
「あっ、うん。ありがとう。」
『相談とは何だ?』
『何かあったか?  ……まさか虐めか!?』
最高に質問攻めをしてくる。
「うん。違うから話し聞いて?」
『あっ。すまない。』
少し首を傾けて目を覗き込んでくる。
「あのね、寝なきゃいけないのに寝れないの。」
「…いや、違くて。眠いのに寝たくないの。…だから寝れない。」
『そうか。私にもあったなぁ、そんな事。』
「でしょうね(笑) だから聴きに来たんだもん。」
先生には、私とは違うが昔いろんな酷い事があった。
『なら、私の部屋を使うといいさ。』
先生は唐突に切り出す。
「えっ?何で?寮あるのに?」
『私が子守唄でも歌ってやろう。』
「いや、私がここで寝たら、先生何処で寝んの?」
『こんなに大きなベッドなんだ。2人で寝れる。』
大体の教師部屋はベッドは大きくキッチンさえある。
「でも、子守唄なんかで寝れるの?」
『きっとひとりだから寝れないんだろう。』
『ほら、寝ていいよ。』

私達は背中をくっつけて寝転んだ。
背中で先生の温もりを感じながら、子守唄を聴く。
ショパンだったかモーツァルトだったか、子守唄はとても綺麗だった。
久しぶりに感じた人の温もりで、
子守唄が終わる前には私も先生も眠っていた。

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  • 読んでくださった方ありがとうございます。
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