「げっ。風邪引いた……。今日の授業、休まなきゃな。」
私は寮の部屋から担任に電話をかけた。
「1時間目、先生の授業なのにな……。」
︙
1時間目。
『おいっ。あいつ、どうした?休みか?』
“えっ?あ〜、はい。風邪引いたらしいです。”
ある生徒がそう答える。
『そうか……。欠席はひとりか? 授業を始める。』
︙
︙
放課後。
「暇だなぁ〜。ラジオ体操でもしようかな〜。」
そう考えているときだった。
コンコン。
ノック音が2回聞こえた。
「はぁぁぁ〜い!!」
返事をすると扉が開いた。
『何だ。元気じゃないか。心配して損したぞ。』
「えぇ〜。心配してくれたんだね、先生。」
手にはホットミルクの入ったカップが2つとチョコレートの乗ったお盆を持っている。
『見舞い持ってきた。』
そう言いながら、持っていたお盆を数センチ上にあげる。
先生からの“心配”が少し嬉しかった。
「ありがと、先生。暇じゃなくなったよ!(笑)」
先生はチョコレートをホットミルクの中に入れ、
魔法を使ってスプーンでかき混ぜる。
「先生の魔法は便利だね。」
『便利だけじゃないさ。』
そう言いながら、ホットチョコレートミルクになったカップを差し出す。
そして、“ニヤリ”ではない本当の顔で少し笑った。
「先生にはその顔が似合ってるわ。その顔が一番ね。」
先生は照れくさそうに笑い、ホットチョコレートミルクを一口飲んだ。