そんな美結ちゃんに「もういいよ」と京本さんは優しく応じた。さらに、
「また来れそうなときに寄りなよ。お菓子買ってあげるからさ」
こんなことまで言ってしまうものだから、私まで目を見開いてしまう。さすがにお人好し過ぎだと思う。
「飛鳥ちゃん、今あたしのことお人好しだと思ったでしょ? あたしにはお見通しなんだからねー」
ジロジロ、ニヤニヤ、そんな表情で私を見つめてくる。その態度に少しだけむっとするが、図星だから言い返せない。
「いやね、反省してるわけだし、ウエハー……美結ちゃんかわいいし、品があるし気に入ったから」
京本さんはいつも周りをよく見ていて、相手の心情を読み取ったりするのが得意だと思うが、ハートで生きている人だから、こういうところは曖昧模糊としている。
「ま、そういうわけだから、またおいで。って、この店のこと、あたしの家みたいに言ってるけど」
「はいっ! ありがとうございます!」
美結ちゃんは初めて小学生らしい健気な笑顔を見せた。