「あーーーーー!!」
突然の大声に、私と美結ちゃんはびくりと肩を震わせた。何事か、と思ったが、私はすぐに京本さんが叫んだ理由がわかった。
「タイムセール、始まってる! もう手遅れですね」
耳を澄ますと、微かに音が聞こえてくる。
ぽりゅ。しゅぱ。ぺこり。
誰かと誰かが戦う音。
「不戦敗とかありえない! 悔しいー」
京本さんは、心底ショックを受けているようだった。
美結ちゃんはといえば、ぽかーんと私たちの様子を眺めていた。
その姿が何だかおかしくて、でもかわいくて、思わずクスクスと笑ってしまった。
「なぁーに、笑ってるの。ほら、もう帰るわよ。明日に備えるのよ!」
愉快な音が溢れるこの小さな店で、私たちは時に笑い合い、時に戦う。
そんなこの場所が、私は大好きなのだ。