今夜、学校主催のダンスパーティーがある。
私の学校では何故か“女性”が“男性”へとダンスを申し込む。
私は紳士な男性はいないのかと思いつつも少し嬉しく思っていた。
もちろん今日は休日の為、それぞれがダンスパーティーの準備をしている。
私はキラキラした赤いドレスとシンデレラのような靴を選んだ。
皆がドレスコードをしはじめた頃、私もドレスを着て大広間へと向かっていた。
沢山のキレイな女子生徒達と、そわそわしている男性達を横目に廊下を進む。
大広間に着いた頃、テーブルも全て退けられ、半分ほどの生徒が集まっていた。
男子生徒や教師が壁に沿って円を作り、女子生徒の入場を待っている。
今や、この学校にいる全員がドレスコードをしている。
生徒全員が集まり、ダンスパーティーが始まる。
それぞれ男性の元へ歩きダンスを申し込む。
私も男性の元へ真っ直ぐ歩き目の前で止まる。
長いドレスの裾を両手で少し持ち上げ、ひざを曲げてお辞儀をする。
「先生。私と踊って頂けませんか?」
実を言うと、ずっと前から先生と踊る事を決めていた。
そのために、先生がよく着ている黒色の服に合わせてドレスを選んだ。
私が顔をあげると、何も言わずに左手を差し出した。
私は先生の左手に右手を重ね、もう一度お辞儀をする。
そのまま踊れる場所まで歩いて行き、先生に体を預けて踊る。
“ダンスパーティー”の為、今日のダンスは男性がリードをして女性が体を預けなければキレイに舞うことはできない。
私と先生はまるで鳥のように舞い続けた。
『今日の君はキレイだ。』
先生がそう呟いた。
「今日の先生もキレイよ。」
私がそう言ったとき、先生は優しく微笑み、私も優しく微笑み返した。
私達はそのままダンスパーティーが終わってしまうまで踊り続けた。