その世界の掟を、疑うことを知らなかったわたしは、ずっと切なかった。だって、何年後かに再会するような青春は訪れないということだから。
「そんなことない。
もっと、自由に想像していいんだよ」
言い方が、あまりにやさしくて、からだが透けてるって忘れそうになる。私は、ありがとうと言っていた。本当は、降りた幕の続きを想像しては幸せを願っていた。それが安らぎだった。
少女が着ていた服の、赤。心を映していた、赤。そうだね。青かったと振り返る日々の、その只中は、燃えていた。罪と罰がどうであれ。思い出せるかわからないことがどうであれ。
「わかった。おやすみなさい」