リズはこの世界でまれにしかみない、優しい心をもっていました。いつも、国の人びとの役に立ちたいと考え、そのために行動していました。
毎日勉強していたリズはいつしかとても賢くなっていました。そして、国の人びとのためになることを次々に思いつき、実行に移していきました。
リズはとても優しく、とてもかしこく、行動力がありました。そのうえ、国で1番、いえ、もしかすると世界で1番、美しかったのです。そして、お母さまに説得されて渋々承知した、それでも最小限におさえた化粧と、動きやすくて長く着られる方がいいから、という理由で作られた質素な服が、リズの美しさをさらにひきたてていました。
なによりも国の人びとが惹かれたのは、リズの飾らない言動でした。こうしてリズに、国の人びとは信頼を寄せました。加えて、リズは人気者でもありました。そしてその信頼と人気は絶大なものでした。
小さな男の子が、転んで擦りむいた膝を手当てしてもらいにきたかと思えば、年頃の女の子が恋の悩みを相談しにきました。奥さんは井戸端会議で仕入れた町の情報をリズに話して聞かせましたし、おじいさんたちも話し相手になってもらおうとやってきました。リズはそのどれもを蔑ろにすることなく、親身になって接しました。
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