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〜二人の秘密〜長文なので時間がある時に読んで下さると嬉しいです。

最近、先生が校長になるという噂が流れている。
手を伸ばしてもスルリと抜けていく先生に、少し寂しく思っていた。

廊下の角を曲がろうとすると声が聞こえた。
現校長の声だったので、隠れて会話を聞く。
先生と話をしていた。
“先生、校長になる気はありませんか?”
『今、答えを出さなければなりませんか?』
先生は質問を質問で返す。
“いやいや〜。今でなくていいんです。考えておいて下さい。”
『わかりました。考えておきます。』
会話が終わりそうだったので、私は静かに、でも急いで、踵(きびす)を返した。

私はお気に入りの窓に腰掛け、空を眺めていた。
『またここにいたのか?』
先生の声がするので振り返る。
「あ〜、先生。なんか久しぶり?」
『昨日会ったばかりだ。』
「そうだった、そうだった。」
『何かあったか?』
「別に何もないよ?」
『またここに来てるし、何もないと言ったときは大体何かある。』
「じゃあ、本当に何もないんだけど、1つ聞いていい?」
『あぁ。もちろん。何だ?』
「先生は校長になるの?」  『え?』
「先生、校長になるの?」  『何で?』
「噂がウジャウジャしてる。」
『私が校長になると君に何か不都合があるのか?』
「別にないよ?」
『じゃあ何でそんな事を聞くんだ?』
「先生が昇格すれば、おめでたいよ、そりゃあ。でも、今みたいに一緒にいれない。先生がどんどん遠くに行っちゃう気がする。ただそれだけ。」
『そうか。ただ、私は校長になるつもりは無い。』
「本当?」
『あぁ。本当だ。君もそう言ってくれているし、踏ん切りがついたよ。』
「何でならないの?校長。」
『私には似合わぬ職だろう?笑 それに、今のままで私は十分満足だからな。』
「ありがとう。」
『何でお礼を言うんだ?』
「今のままで良いって言ってくれたから?」
『何なんだ?それ(笑)』
私達は少しの間笑い合った。

先生が、これ以上スルリと抜けてしまわないように私はそっと“レプラコーン”にお願いをした。

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  • 読んで下さった方ありがとうございます!
  • 長文すみません。
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