屋上の踊り場で、舞のようなダンスを踊っていた。
裸足でペタペタ、トンと音を立てながら飛んだり回ったり、まるでバレリーナかのように舞っていた。
『そのダンス、嫌いじゃない。』
後ろから先生の声がしたので振り返る。
「私も、このタイプのダンスだけは好きなの。」
『裸足で踊るんだな。』
「裸足だと、何か悪いものが身体から出ていきそうで(笑)。」
そう言った私に缶のおしるこを差し出す。
『まだ寒いだろう?差し入れ。』
私達は階段に座っておしるこを飲む。
「おいしい。」
『糖分は大切だ。』
「っていうか、よくわかったね?この場所。」
『音がした。踊ってるんだろうなって音。』
「まぁ、屋上とかほとんど人、来ないもんね〜。」
私はもう一口、おしるこを飲む。
『何でここにいるんだ?』
「人がいると自分が死にそうだから…??」
『わからないこともないな(笑)。』
「人の声が私には雑音にしか聞こえない(笑)。」
『わからないこともないが、一人でいるからだろう?君は何で1人でいるんだ?私とは違うだろう?』
「先生とは違うよ。でも私は、、私は、仲良くできない。」
そう言うとまたダンスに戻る。
『何か嫌なことでもあったか?』
私は踊りながら答える。
「何もないよ。でも、ただただ上手に馴染めないだけ。」
『私には話しかけるのに?』
「みんな私の事はいない存在だと思ってる。」
『そんな事ないだろう?』
「私には、クラス全員の声は大きすぎる。」
私は舞っていた足をとめる。
「先生。私はどうすれば良かった?どれが正解だった?」
『“私と話す事。”それが正解だ。』
「何それ(笑)?変なの(笑)。」
私はもう一度先生の隣に座る。
『1人だけ話す相手がいればそれでいい。君にとってその相手は私だし、私にとってそれは君だ。』
「先生、本当に変な事言うね〜(笑)。でも、ありがとう。あっ、そうだ。先生も一緒に踊らない?ダンスパーティーみたいなの。」
『ダンスパーティーみたいな踊りならできる。』
私は裸足のまま、先生と一緒に踊った。
先生の温もりは私が築いてきた壁を優しくノックしてくれるものだった。