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つき(4)

それから俺は、物忘が酷くなっていった。
自覚があるだけまだマシなほうで、今だって思い出せていないことがたくさんあるのだろう。
ただひとつ、思い出しかけていることがある。


"懐葵のこと忘れさせられちゃったもんね"


羽山真月と名乗る男のひとことだ。
あれから少し考え、"なつき"という名前に少し既視感を覚えるようになったのだ。
ただそれ以上なにかを思い出すことは無かった為、真相を知ることはできなかった。

なんなんだ、あの男ー
そんなことを思いながら眠りにつくと、その日は珍しく夢を見た。
「ゆづき〜、良い子だ!
こっちにおいで…」
夢にしては短かったのか、憶えているのは俺の発したひとことと猫の姿のみだった。
ゆづき…誰だ。
最近変なことばかり起こるから全てを疑う癖がついていた。
この"ゆづき"という猫も、俺になにか関係があるのか。
そして夢に出てきた自分は本当に自分なのだろうか…。
独りで悶々と考えていると、ふと自分が猫に対して抱く感情が疑いとは少しちがうモノであることに気付いた。
日常の中の違和感…
言葉にするならばそんなモノだろうか。
どちらにしよ真実がはっきり見えたわけではなかった。

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  • コレいつまで続けようかな笑
  • 長編小説
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