0

熱冷まし

誰かだけの 優しいふりの手
いたいの いたいの とんでゆけ
気休めにしかならない言葉
悴む指 吐息は白く

わたしだけの とっておきのおまじない
腕に 緋色の線を描こうか
眠らない住人の笑い声
震える胸 記憶は黒く

貴方だけの 美しい子守唄
人工言語を話す 白黒映画
眠れない住人の叫び声
溢れた熱の雫 流れる血は黒く 迫る死は白く

夢遊病患者に 降り注ぐ梅雨
街の情景がくすむ
敢えて遠回りを決め込んで
帰るのは 思い出してから

彼が私にくれた 効き目の悪い解熱剤
毎晩 微温い雨で流し込もうか
眠らない私は 眠れない私は
自分で胸を締め付けて 声を殺した

誰も聞いてくれない 雫の音
誰も見てくれない 熱の色
モノクロのフィルムが喋る 人工言語
吐息は白色 記憶は黒色
 
錠剤の白色 緋色の線

流れる血は黒色 死の色は白色

花の色も 溢れる雫も 孕む熱も 焦げ付いた胸の苦しみも
わたしだけのもの

  • つらい頭痛に
  • つらい胸の痛みに
  • 効き目はあるとか無いとか
レスを書き込む

この書き込みにレスをつけるにはログインが必要です。