『髪の毛、くるくるしてどうかしたか?』
髪をくるくるしながら触っていると先生が、心配そうに声をかけた。
「おっ!先生。なんで?」
『今までに、見たことが無い手癖だなと思って。』
「先生、よく見てるね〜(笑)。」
『そりゃそうさ。何かあったのか?』
先生は私の隣に座る。
「先生は髪の色、どう思う?」
『髪の色?』
「うん、そう。先生はキレイな黒髪でしょ?」
私は先生を見上げる。
『あぁ、そうだな。キレイかは置いといて黒髪だ。』
「私はね、自分黒髪だと思ってるんだけど、結構茶髪でさ。髪の毛染めたんじゃないかって言われたの。」
私がそう言うと、先生は私の髪をすくって太陽にかざす。
「先生?」
『太陽にかざすと茶色。陽が当たってないときにはちゃんと黒髪も混じってる。』
そう言うと先生は私の頭をポンポンした。
「先生はどう思う?地毛が茶髪なのに、地毛の人が地毛登録しなきゃいけないの。」
『私はもっと、生きやすい社会になればいいと思うよ。ハーフでも外国人でもなんでも。髪の色、肌の色、そんなものを気にしなくていい世の中になればいいと思う。もし学校が、染める事を駄目だと言うのなら、染めた人に罰則を与えるべきだと思ってる。』
「だよね(笑)。」
私は静かにニコッと笑う。
『ただ、これもまた倫理だ。自分の事を捨ててはいけないが、世間様と同じようにしなければならない。』
「わかってるよ(笑)。だから私も地毛登録出したんだもん。」
そう言った私を見て、先生は頭をなでる。
『偉いな。私は、君が髪を染めていない事なんてとっくの昔から知っている。』
「ありがとう、先生。私の髪の色、認めてくれて。」
『最初に言っただろう?私は君の事をよく見ている(笑)。』
先生は優しく、でも悪戯っ子のように笑った。
私は先生に笑顔を返し、太陽に手をかざした。