とっておきのおまじない 私だけのお守り
あの世に全部持っていけるなら 持って逝きたい 切符もお忘れなく
死に花を踏み潰されても これがあればきっと大丈夫
生きるのも死ぬのも同じこと
病室から病気のまま飛び出して 直す気もない睡眠障害も連れて
ようやく眠れるようになっても 大人しく眠る気は毛頭ないのよ
嗚呼 誰かこの私にお似合いな処方箋を!
甲乙丙丁並べるだけならば 誰でもできるでしょう?
用意しておいたこの呪文 俺だけの鎮魂歌
この世に何も置いて逝きたくない パスポートなら 何処でも置いてる
死に花は咲かないだろう 花はいらないから金をくれよ
起きるのも眠るのも同じこと
病床から病みが零れ落ちてきて 泣く気もない血も通わない夜で
やっと苦し紛れに言い訳できた だが実を言うなら信じたくない
嗚呼 誰かこの俺にぴったりな処方箋をくれ
くだらない御託はいらないさ いっそ毒でも盛ってくれ
喜びも怒りも哀しみも楽しみも さんざん喰べ尽くしたんだ
ただひとつある特定の種類の悦びをのぞいて お腹いっぱい
あらあなたも同じ駅へ? なら地獄の果てまでご一緒します
それとも新天地を探しにいきましょうか? それも悪くない
書きかけた処方箋 誰のものでも無くなった処方箋 ただの紙切れ
大層なことは書かれてないことはわかっているから はやく燃やせ
おかしいな 飲み込めない薬の名前ばかり なんの役にも立たない
悪魔に揺さぶられながら 堕ちていこうか どうせ何にもならない
手のひらから 処方箋が堕ちて行く 奈落の先の そのさらに奥で
同じように生きていこう 処方箋を持ってても捨てても同じことさ