『唄あはせの便り』
ある日、文紡の部屋へ弟子の一人の勘木が一つの便りを言いに来た。
「あの......文紡さん...残念ですが...。」
文紡は悟った様子で言った。
「わかっています、もう長くは無いと。」
勘木も残念そうに、
「そうです。『唄あはせ』の時期が来てしまいました。」と言った。
『唄あはせ』とは年に一度の行事である。
官民問わず国中の実力ある歌人が宮殿内にある『無相の言の葉の館』に集まり、歌を詠み合う。
文紡はこの行事が嫌いで嫌いで仕方が無かった。
原因はそのルールである。
二人が向かい合い一人が短歌を詠み、もう一人はそれを聞く、そしてそれに返歌を返す、またそれに返歌を返す、またそれに......と言う風にどちらかが返歌を返せなくなるまで続けると言う感じである。
文紡は天才である。
そしてかなり優しい人間である。
その性格故に、人を負かすのが嫌いなのである。
だが、勝ってしまうので自ずとその姿を見てしまう。
しかし『想起堂』の人間として出ないといけない。
そういうのが嫌なのである。
「仕方ないですね、今年も出ます。
今年こそ誰か私に勝ってくれないでしょうか。」
文紡の願いは切実である。
To be continued #44
『Curious under the moon syamisen and song』
P.S.最近、たまにインスト曲を作ったりします。
適当に頭の中のメロディラインを打ち込むのですが。
良くそれを物語の発想の起点にしています。
勿論この章にもテーマ曲があります。
どうせ黒歴史入りしますけど笑
それと、一つ。
この間完結させたプロットが気に食わなかったので書き直します。なので、暫くファヴァー魔法図書館は休みます。
このままだと「性格破綻ワロタw」とか「何故殺したし」とか言われそうだったんで笑
まぁ一、二週間で帰ってきますけどそこん所よろしくお願いします。