「碧ー、ご飯出来てるわよ!着替えたら降りてらっしゃい。」
母の呼ぶ声に引き戻される。制服を脱ぎ捨てジャージに着替え、ご飯に向かう。既に十時二十分を回っていた。
「最近、学校どう?」
この質問、本当に嫌だ。
「どうってば?
……いただきます。」
どうもこうもない。最悪だ。
そう思いながら、ご飯を食べ始める。母は、洗い物をしながら聞く。
「勉強も部活も。…順調なの?」
まるで早食い競争のように、半ばヤケ気味で食べる碧。答える声はぶっきらぼう極まりない。
「別に。普通。」
中学校に戻りたい。
本当に嫌な聞き方。順調なのかと問われて、最悪と答える子供がどこにいようか。大抵誰しも、親に心配かけまいといい方向に話を持っていくだろう。……いや、単純に認めたくないだけかもしれない。少なくとも、今の碧は後者だった。口に出すことによって、本当のことになってしまいそうで。
「ごちそうさま。」
「あ、碧!?」
少し驚いた様子の母。食器を下げて、碧はお風呂へ向かう。
__大人はいつもこうだ。