先生の部屋の前を通ろうとすると、部屋の中から“ガタッゴト”と音がしたので、先生の部屋を2回ノックする。
何かを隠そうとする音がして、“バサッ”と羽音がする。
「先生〜??私〜。」
『なんだ、君か。入っておいで。』
私は扉から少し顔を出す。
「何してるの?」
『頼む、先に扉を閉めてくれ。』
「あ〜、ごめんごめん。」
私は部屋に入り、扉を閉める。
『内緒だぞ?』
「もちろん、秘密。」
私が人差し指を口元に持っていったのを確認すると、鳥かごを取り出す。
「えっ、羽根の生えた悪魔??」
『いや、これは妖精だ。』
「これが??私の想像とは違うな〜……。」
『こっちの世界と魔法が使える世界では勘違いしている事が多いんだ。』
「今日はなんでこの子を??」
『ほら、覚えてるか?梟の郵便屋さん。』
「覚えてるよ。いつもの窓のとこから飛ばしたよね。」
『あぁ。その梟が連れてきた。』
「ん?なんで?」
『こっちの世界に迷い込んだから探せと命令だ。』
「それ、先生の仕事なんだね?」
『こっちの世界に来ている魔法使いは少ないからな。』
そう言うと先生は、笛で梟を呼ぶ。
「久しぶりに先生が魔法使ってるの見た。」
『まだ魔法使ってないがな(笑)。』
「え〜、十分魔法だよ(笑)。」
先生は、窓にとまった梟に妖精が入った鳥かごを持たせると、窓から梟を飛ばす。
「これで、あの子は魔法の世界に帰れるの?」
『あぁ。もうここには来ないだろう。』
「ねぇ、先生?久しぶりに魔法の薬学見せてよ(笑)。」
私は、先生の事を手伝いながら新しい魔法の薬学を見せてもらった。
魔法の薬を作り終えた頃、開けていた窓から1通の手紙が降ってきたのに気づいたのは、片付けが終わったあとだった。