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笑わない世界、笑えない世界 No.2

私は空を見上げた。雲のすきまから見える太陽は美しい。少し向こうに天使のはしごが見える。いいな。私もああいう風に照らされてみたいな。
「クルミ!早く来なさい!」
母だ。
「何でしょうか」
「何でしょうか、じゃないでしょう!早くこれを片付けなさい」
「はい」
机に置いていた食器を台所へ運ぶ。カチャンカチャンという音を立てて流し台に置いて行った。
「できました」
「よろしい。勉強をしなさい」
「はい、分かりました」
私は2階にある自分の部屋へ行くため階段を駆け上った。
机に教科書やワークを出して早速取り掛かった。来週テストだからこのワークを終わらさなければならない。
「クルミ!こっち来て!」
また母の声がした。私は急いで階段を降りて母のもとへ行く。
「今日はやっぱり勉強しなくてもいい」
「えっ、でも。来週…」
「黙りなさい!今日はいいと言っているの」
「は、はい。分かりました。片付けてきます」
再び私は階段を上って部屋のドアを開けた。出していた物を棚や引き出しに片付けた。
「これ、観よ」
「え?あ、はい」
降りてきて言われた。今日の母はどうしたものか。変に優しい。
言われて観たテレビ番組は、相変わらずつまらないものだった。
バラエティー番組なのに、ニュース番組を観るかのように黙りこくってジッとしていた。

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  • ここからが本当の本編です。諸事情により今日に投稿。
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