ゴールデンウィーク中盤、実家に帰ったり、遊びに出ている生徒が多く、いつもより静かな窓辺で本を読んでいた。
『お〜、珍しい。なんの本だ??』
「お〜、先生!何の本でしょう?」
私は質問を質問で返した。
先生は少し考えると両手を挙げる。
『降参だ(笑)。』
ニコッと笑うと隣に座る。
「魔法使いのお話(笑)。こっちの世界の人が考えてる魔法界の物語だよ。」
私は栞を挟むと本を閉じる。
『面白いか??』
「ん〜、私は本物の魔法使いを知ってるから変な感じ(笑)!」
『そうだな(笑)、君は魔法が本当にあるという事を知っている。』
「先生の魔法がキレイって事も知ってる(笑)。」
私は本を落とさないよう横に置く。
『ゴールデンウィークも半ばだな。』
先生はふと空を見て呟く。
「寂しい?」
『寂しくはないが、休みが一番だ(笑)。』
「アルもこの休み使って実家帰ったもんね(笑)。」
『休みが長いとなんでもできるだろう?』
「うん、先生も魔法の研究やりやすいしね(笑)。」
『だな(笑)。また手伝ってくれ。』
先生は優しく笑う。
「え〜。先生の魔法、きれいだからいいよ。」
私は窓から立ち上がり背伸びをする。
「アル、お土産買ってきてくれるかな〜?」
『期待しとこうか(笑)。』
先生は可愛らしく笑うと立ち上がる。
『今日は風が強くて寒いから、部屋で話そう。ついでにアルに手紙を書けばいい(笑)。』
私は振り返る。
「なんて書くの?」
『決まってるだろ?“お土産待ってる”だ(笑)。』
先生はいたずらに笑う。
「何それ(笑)、可愛すぎかよ(笑)!!」
私達は誰もいない寮の談話室でアルに手紙を書いた。
もちろん、最後に“お土産待ってる”と付け加えて。