今日の1時間は自習になり、アルが自習監督として教室に来ていた。
20分が経った頃、微かに爆発音が廊下の方(いや先生の部屋だろう)から聞こえた。
アルもその音に気づいたらしく、私と目を合わせた。
「先生、トイレ、行っていいですか?」
授業が始まって20分、欠席にならない事を確認し、手をあげて聞く。
“あっ、もちろん。自習なので、どうぞ。”
アルともう一度目が合ったのでウィンクをする。
先生の部屋に行ってくると言う意味だったがわからなかったらしい。
私はさぁ?わかんない。というジェスチャーをして先生の部屋へと急いだ。
先生の部屋へ行くと、間髪入れずに扉を開けた。
「先生!大丈夫!?」
煙が充満していたが廊下に流れると困るので扉を閉める。
『今、授業中だろ!ゴホッ』
「アルの自習だから。うわっこれヒドい。ゴホッ」
私は手探りで窓を開けると、次に先生を探す。
先生の手に触れたので、ギュッと握る。
『ん?何だ?』
「生きてるか確認。窓開けたから少し待ってよ。」
『あぁ。ありがとう。』
5分ほど経つと、ほぼ完全に煙がなくなったので状況を把握する。
「割れたの鍋だけ?」
『あぁ、そうみたいだな。』
「よし、あと20分あるからさっさと片付けよ!」
私は雑巾を2枚持ってきて先生に渡す。
『ありがとう。』
「っていうか先生、GW明けて、授業も始まってんのに、薬学の研究してんの?」
『あぁ。失敗するとは思ってなかったんだよ。』
先生と私は机や床にこぼれた液体の薬を拭いていく。
『きれいになったな。』
「うん!後は鍋の破片集めて終わり!」
そう言うと、私達は1つ1つ丁寧に集める。
『終わった。』
そう言った先生の指から血が出ていた。
「先生!破片で指切ってるっ!!!」
『ん?あぁ、なんてことない。』
「なんてことないじゃない!座りなさい!!」
私は救急箱を持ってきて、簡単に治療する。
「先生はいっつも無茶ばっかり。これ以上の無茶はしないで?」
『あぁ。ありがとう(笑)。』
先生はニコッと笑う。
「あっ、あと少しで授業終わるから行くね!アルが大変なことになる(笑)!」
私は駆け出す。
『なぁ、ありがとう。』
私が扉を開けたとき先生は、そう言った。
私は振り返り微笑むと、教室まで走った。