靴擦れの水膨れから流れ出た海と、頭痛
稚魚の体越しに歪んで見えた砂浜の小石
ぬらぬらと光った皮膚と透けた内臓の焦燥
嗚咽はやがて脈動になり
思考は皮下を蠢いて
ああ、化け物になってしまった
ガラス瓶の内と、星のないプラネタリウム
黴臭い産道を抜けて下水道を揺蕩う水葬
煙草に焼かれた金魚の鱗と揺れる吐き気
自由はお前の視界を奪い
指先は脳細胞を愛撫し
ただ、不快なとある昼下がり
飲み込んだ内臓と、食い破られた皮膚
致死量の活字を点滴するだけの文庫本
まぶたの裏を切りつける鋭角と懊悩