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カタストロフィ

「さあ、皆さん今から開演です」
僕独りだけのステージから
誰一人としていない客席に向けて
君一人だけでも見てくれるというのなら
ありがとう、どうぞお好きな席へ

まだポケットのナイフはしまっておいて
いざという時までは隠しておいて
ワン・ツー・スリーの合図でさ
拍手喝采の時までは

やっぱり悲劇モノには涙がさ
付き物なんだからさ
目薬とかで練習しててよ
ホントかウソか分からなくなるまで

僕には切り札なんて無くて
結局、僕は僕でしかなくて
君にも切り札なんて無くて
君も君以上の何者でもなくて
ならどうすればいい?
憧れや理想や夢を演じればいい?
案の定、今日の公演のチケットも
一枚も売れませんでした

みんな誰にも見せられない部屋があって
そして誰にも見せられないゴミ箱があって
僕のゴミ箱にはさ、失敗作の僕が
ティッシュに包んで捨ててある

売れると思うんだ
夢破れて途方に暮れる男女
君をヒロインに抜擢するよ
ねぇ、考えておいてくれよ
今度こそ売れると思うんだ

泣きたいよ、もう泣きたいよ
僕に3本目の腕があったなら
11本目の手の指があったなら
アレさえあれば、アレさえあれば
良かったのに

僕には切り札なんて無くて
結局、僕は僕でしかなくて
君にも切り札なんて無くて
君も君以上の何者でもなくて
ならどうすればいい?
いっそもうフィナーレに入ればいいかな?

「満員御礼」の旗ももう捨てておいて
看板ももう全て捨てておいて
ステージのライトももう切っておいて
僕の目も、腕も、手も、足も、胴も、
全て捨てておいて

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