0

雲の糸

雨で濡れた前髪を
額に貼り付けたまま
僕にもたれかかりながら歩く君
人知れず君の頬を伝ったのは
雨だったのか、それとも涙か

人の体のほとんどは水だから
雨たちらきっと僕らには
気付かないはずさ
君が耳元で囁いた言葉も
雨は知らない

騒々しい、と耳を塞いだら
君が聞こえなくなって
沁みて痛いな、と目を瞑ったら
君が見えなくなって手探りでも

分からなくなってしまう

天気予報はきっと、曇りのち晴れ
それなのに裏腹に止まぬ雨
淡い色に滲んで足がとられて
今夜はきっと上手く踊れそうにもない

もっと揺らして、君が
もっと降らして、君の涙の抜け殻 
もっと照らして、君の、君の

レスを書き込む

この書き込みにレスをつけるにはログインが必要です。