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"ルンルンBOY”

「ラ~ルラ~リル~ラリ~ルルラ~ン~~」
僕はこの商店街が好きだ。八百屋さんや服屋さん、写真屋さん、ケーキ屋さん…。色んなお店が集まって、色んな人がいる。
八百屋のおじちゃんは「これ、持っていき」ってトマトをくれるし、その隣のおばちゃんはお菓子をくれる。
だから僕はこの商店街の真ん中で、踊り歌っているのだ。
「ラ~ルラ~リル~ラリ~ルルラ~ン~~」
今日もそうしていると、声をかけられた。
「君、何をしているの?」
「え?踊ったり歌ったり?」
「へぇ~。元気だね」
「う、うん。…おにいさん、誰?」
「あ、僕はそこの新しくできた本屋の店長だよ。初めまして」
「初めまして」
その人は20代後半くらいで、優しそうだった。
「君、『ルンルンBOY』って知ってる?」
「『ルンルンBOY』?」
「そう。ドイツの絵本なんだけどね、ある町の少年が商店街の真ん中で踊ったり、歌ったりしていたんだ。そしたら、たまたまそこに王が来て、その王に気に入れられてパーティーに招待されたんだ。そのパーティーでパフォーマンスをすると、一気に有名人になった。そういう話」
「それが…?」
「うん。すごく君に似ていたから」
おにいさんは僕を本屋に誘ってその本を見せてくれた。

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