今日はアルが一番最初にいつもの窓辺にいた。
「アル、なんでギターしてるの??」
アルは私に気づくと手を止める。
“あっ、邪魔??”
「ううん。邪魔じゃない。ただちょっと寄って。」
アルが少し寄ってくれたので横に座る。
「なんでいきなりギター始めてるの?」
“魔法界ではなかなかできなかったからな。”
「なんで?」
“うん?忙しかったから。”
「今も忙しそうにしてるじゃん?」
私はじっとアルを見つめる。
“これは仕事だから。”
「ふ〜ん。わかんないや。」
“ん??”
「仕事だったらできるの??忙しくても。」
“仕事と趣味は分けられる。”
「ふ〜ん。」
私はいつものように外側に足を出す。
「なんか弾いてよ。先生が来るまで聴いてるから。」
私がそう言うと、アルは優しくギターに触れる。
優しい音が誰もいない廊下に響き渡った。