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銀世界

鋭いナイフ 凍りつく背筋
ヒリヒリする痛みに酔う 白銀の世界 
懐かしいあの季節 刃にすら温もりを感じた

白い吐息 痺れ続ける指
重なり合う手のひらは 意味を為さない
憎たらしいはずの瞬間 切先から零れた何か
泣き喚く心臓をあやして 一緒に凍えていた

ひとつ またひとつと 消えていく
踏み躙られた雪の中へ 痕も残さず
冷たいまま ひとつになる

ひとり またひとりと 消えていく
閉ざされた空の向こうへ あまりにも儚く
冷酷な銀世界 温もりの残った雫すら踏み潰して

何色に染まることも赦されず
赤く染まった指も 切先も 手のひらも 引き攣れも
例外もなく 白く塗りつぶされていく

冷気に灼けていく身体 冷たさすら恋しいのに
摩耗した感覚で 出来ることなんかたかが知れている
寒気の雪崩れ込む頭 思考回路が氷と化した
麻痺した感性でも どうしても愛おしい刃
それでも生き続ける 白銀の世界で


  

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