学校から帰るとき、ある友達が、指輪をくれた。クリップを解体して作ったという、ぐにゃぐにゃした指輪。私はそれを、申し訳ないけどもう一度解体させてもらって、できるだけ綺麗な形に作り直した。
家に帰る途中のバスの中で、私は指輪を、左手の薬指にはめてみた。頭に思い浮かべるのは、先生の顔。そして、なんとなく考える。もう一つ作って、先生の薬指にはめちゃいたい。
私が先生とお揃いの指輪をはめられるようになるのは、いつだろう。そんな日が来るのかな。
左手の薬指をチラチラ見ながら、私は家まで歩いた。ちょっと切なくて、なんとなく特別な気持ちだった、金曜日の帰り道。
(ちなみに実話です。)