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『抗議 畢竟猫には敵わない』下

「おれのこと、どう思ってる?家族?友人?従者?……従者かもな」
 わからない言葉を次々と紡いでいくのは“ふぇあ”じゃないぞ。
 ただ、撫で方の質の良さは褒めて遣わす……。
「何かを期待しているわけでも、見返りを求めているわけでもない。ただ、そばにいたいだけなんだけどな……それが友人って形でも、恋人って形でも、家族って形でも、大切で特別な思いに変わりはない。これに名前は必要?」
 ……にゃー。
「しいて言うなら、ただただ“愛”なんだけどなあ……やっぱりしゃべるのが下手みたいだ。これで変に変わるくらいなら、言葉なんて消えちまえばいいのに」
 意思疎通が図れない方がいいというのだろうか。褒めて遣わすというのに、人間は変である。
「あ、ごろごろいうのやめたな。考えの相違でもあった?」
 笑っているが、あながち間違いではない。変わらないことを望むのは、幾分か贅沢なことである。しかし、少なからずおぬしは他より少し特別な人間である。願わくば、と思わないこともない。
「あ、またごろごろしてる……」
 畢竟なるようにしかならんのだ。おぬしが“じゅうしゃ”が望みとあればそう思うことにしよう。しかし、今までと変わりはないぞ。なぜなら、お互いの言葉が通じないんだからな。
 ただ、人間と人間は言葉を交わすことができるのである。変化があるのであれば、それを楽しむこともまた一つじゃないかと思うが。……我に褒めてもらいたくはないのか、人間。

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