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魅惑の香り

「久しぶり!」
そう言うあなたの姿はすっかり変わっていた。
私を好きだよと言ってた時のハナミズキの香りはもうどこにもない。
なのに別れようと言ってた時のあの冷たい香りはどうして消えないの?

あなたは今どんな気持ちで私に笑いかけてるの?…
あなたは今どんな香りがしているの?…
もうしばらく私はどんな香りも楽しめない…
教えてよ…あなたのホントの香りを…

あなたの前では、あなたのことではもう二度と泣かないって決めたはずなのに!
…どうして…どうして…どうして!?
どうしてまだ私はあの頃のあなたを探してしまうの?
ちょっとすり足ですり減った靴底…
笑窪のできないあなたの笑い顔…
わざとらしく車道側を歩いてるところ…
変わらないところを見る度にあなたのキンセンカの香りが強くなる…前は嫌がってたあなたの仕草が愛しくて哀しくなる…

仕草って草に香りがあればそれだけでいいのに…
それがあなたのホントの香りだと信じてあげるから…
もう二度とあんな残酷な香りを私に与えないで…

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