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迷子

僕が知ってる君の知らない君は
果たして本当に君だろうか
僕が知ってる つもりの 君の知らない君は
果たして君のような僕だったりしたり
僕の目が見た『君』を
君が見ることは決してない
けれども
だけども

君は一体誰だ
僕が見ている君は
今目の前にいる君は
缶コーヒー越しに笑う君は
帽子を深く被り直す君は
夕日の陰で頬を濡らす君は
汗だよ、と誰にともなくつぶやく君は
そのシャツの裾で風を捕まえた君は
そのジーンズを強く握りしめる君は
君の隣に僕を置き去りにして
お構い無しで俯いてしまう君は

君は今
一体どこにいるんだ

はるか遠くの大声のように
ここだよ、と細く鳴って
こぼれ落ちた


君の声だ、と気づいた時には
もう君はいなかった

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