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小説版ソラミミ(ソラミミの前日談的な)

“あなたがもう一度聞きたい言葉は何?”
僕は…あの時の…

「よろしくお願いします!」
この地域では結構強豪な(らしい)吹奏楽部に入部した。
入部の理由は極めて安易(というか不純)だった。
初心者でも大丈夫って言葉とそう言ってた先輩がクッソ可愛いってことだけ。
結果どうにかその先輩のパート、吹奏楽部で唯一の弦楽器、コントラバスパートに入ることができた。(ちょっと後悔してたけど)
やっぱり最初の頃は死ぬほどキツかった。
左腕は上げっぱなしだし、弓には慣れないし、運搬ただただ重いし、なのに先輩は僕より小さい体でサクサクとそれをやってのける。多分この時初めて好きとかを越えて人に憧れた。それからはもう下心とかもなく素直に先輩との時間が楽しかった。学校行事もコンクールも、

“楽しいまま終わらなければいいのに…”

「先輩!今日一緒に帰りませんか?」
初めてそう言えたのは最後の演奏会を控えた練習が始まった頃だった。最寄り駅までの道はどこか部活の延長みたいで、でも帰りの電車が揺れた時先輩に初めて触れてしまった。
あれ?別に隠してた訳でもないのに、
なんか…ドキドキする…なんで?
どうして先輩までそんな顔をするの?
「すみません、先輩、僕の不注意で」
でもズルいよ、そんなすぐにすまし顔するなんて。
先輩が“先輩”のままでいたら手出しなんて出来ないよ。
「大丈夫、あ、なんかドキドキした?」
だって僕は後輩である前に先輩に告ろうとしてる不届き者ですよ!?ドキドキしないわけないじゃないか
「すぐにそういうこと言わないで下さいよ」
「顔真っ赤だよ?(笑)」
「え?」
「なーんて(笑)でも楽しかった。じゃお疲れ様ー」
そう言ってタイミング良く先輩は電車を降りていった。

to be continued...

  • リクエストありがとうございます
  • 長めと思ったら入り切らなかった(笑)
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