午前中で学校は終わると言っても
退屈でしかたがなかった。
2年C組の神崎永魅理はホームルーム中
ずっと窓の外の空を眺めていた。
正しくは、空の中に浮かぶ『何か』なのだが…
「次は11番か、11番の奴ー。」
「…。」
「おい、神崎、お前の番だ」
「えっ、なにが?、あっ何がですか」
「はぁ、お前は外を見ながら寝れるのか…
器用な奴だな、自己紹介だよ」
「あっ、はい、11番の神崎永魅理です。
元1-Dです。趣味はオカ本漁りです。
これで大丈夫ですか?」
「あぁ、次は12番の北村ー」
「………」
「………」
「………」
また彼女は視線を窓の外に写した。
(あれ、いなくなってる……まぁ常に見かけるけど)
空にはく雲がなん欠けらしかないその虚空を
ただひたすら眺め続ける彼女は学校では不思議ちゃんで有名な人物である。
たまに不可思議、摩訶不思議とも言われている
彼女、神崎永魅理(かんざきえみり)は
全身緋色の格好をしている。
髪やブレザー、スカート、さすがに
ブラウスは白だかほとんどが緋色と
服装自由な桜ヶ崎のなかでも
群を抜いて奇抜な格好をしていた。