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black sheep(リメイク版)

「待って!待ってよ!」
私がこれからすることの1番の恩恵を受ける人であり
おそらく1番悲しんでくれるであろう人は
やはり最後を見届けるこの屋上に現れた
「ダメ!私はあなたのそばにいちゃいけないの。
あなたは綺麗な白を纏う聖なる羊、なのに私は罪に汚れた醜い黒い羊、住む世界が違うの!」
屋上のフェンスを前に私は友達に言ってしまった。
「違う!私はあなたが好きなの、あなたを失いたくない!
たとえ周りからなんと言われようと私はあなたを信じるから!友梨奈ちゃん!」
その友達はフェンスに手をかける私を必死に止めるように名前を呼んだ。
その瞬間ヒガンバナの花ビラが落ちるように何かが私の心を開こうとしてる感覚がした。
「違うよ…虹花ちゃん…私だってあなたが好き…
でも…あなたは…私といたらきっと何かを失う…から…ねぇお願い!私を殺して!」
逃げたかった。あんな顔を友達にさせたこと、クラスの子に言われたこと、全てが次々に私の心を攻める。
もう私はここにいちゃいけない…

“私が犠牲になってあなたが幸せになるなら…”

願ってしまった、こんな残酷な願いを。
指にフェンスが食い込む。

“あの子にヒガンバナが渡るくらいならいっそ…”

次々と死ぬ理由が浮かんだ。
フェンスの1番上に手がかかる。
手に当たる風が強い…
あぁ、もう何も苦しまないでいい。

そう言って…
友達の苦痛に満ちた顔から逃げた。

私は結局最後まで厄介者でしかいられない…

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