真面目な面した仮面を剥がすには熱の残る晩 夏の陽射しがぴったりだ。解放を願うその心 の奥底に疲れがどっと溜まる。毎年連日の猛 暑で身体は拒否反応を示し始めた。何事も成 さねば成らぬ。外に出てみる。足取りがやけ に軽い。覚えのある散髪屋に居た。心の陽が 消えぬ内に色を付けよう。昔を振り返り歯が ゆささえ感じる。脳は止まる時は長く、変わ る時は短く心を響かせる。気づくと赤茶けた 秋色になった。ニ年前唯一の善き思い出だ。