手紙を開くと、私の予想していた通りの字が見えた。
そしてその筆跡は、私のノートに書き足された詩の筆跡と同じだった。
『なんでこの人が』
当然、誰も答えてはくれない。
手紙には、以下のように書かれていた。
以前読んだことはあるが、もう一度読むことにする。
《蒼井 詩様
お誕生日おめでとう!!
蒼井さんとは結局3年間、クラス一緒だね
クラスメートの為に毎日色々やってくれてありがとう
僕にも出来ることあったら言ってな~
プレゼントは
この前欲しいって言ってた筆箱と、
蒼井さんは文芸部やから使うかと思って、
ノートにしたよ!よかったらどーぞ!》
ここまで読んで、
封筒の中に何か入っていることに気づいた。
一回目に手紙を読んだ時には気づかなかったものだ。
『メモ…』
《蒼井さんへ
ノートの中のどこかに、僕が書いた詩があるんよ
その日付に見覚えがあったら、明日の放課後、
屋上まで来てください
見覚えなかったら忘れて! 小林 隼人》
『何これ…知らなかったよ…』
視界がぼんやり輝いた。
頬にしょっぱい雨が降る。
しばらく一人で雨の中にいた。
「なぁに手紙読んで泣いてんの」
後ろから声がした。
【続く】