「…?」
グレートヒェンの手の中にある魔石が、ぼんやりと光を放っている。
強い魔力に反応するように細工が為されているため、魔力の塊である使い魔に多少の反応を示すのはグレートヒェンも分かっていた。
だが、この光り方は明らかにすぐ側の使い魔よりも大きな魔力に対する反応である。
まさか…と思いつつグレートヒェンは振り向いた。
「‼︎」
背後にいたのは、半透明の狼のような巨大な獣…すなわち”精霊”だった。
「…」
精霊の金色の目と、グレートヒェンの目が合う。
やられる、そう悟ったグレートヒェンは叫んだ。
「ナツィ‼︎ 出ば…」
そう言いながらナツィがいる方を向いて、グレートヒェンは言葉を失った。
「…え?」
知らない間にナツィはグレートヒェンから少し離れた所にいる…というかその場から立ち去ろうとしている。
「…何?」
「何じゃないわよ」
ナツィの言葉に思わずグレートヒェンは突っ込んだ。