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緋い魔女(再掲) Act 15

「正式な主従じゃないから必ず命令を聞くわけじゃないって最初に言ったんだけど」
ナツィは面倒臭そうに答える。
あっそ、とグレートヒェンは返した。
「…まぁ最初に言ってたものね、分かってたわ、分かってたわよ」
そして精霊に向き直った。
「それなら…好きになさい‼」
グレートヒェンはそう吐き捨てるや否や、懐から赤い石を幾つか取り出して地面に投げつけた。
石は雪原に着地すると共に白っぽい煙を上げ、見る見るうちに辺りを覆い隠してしまった。
「あまり時間がないから、これ位しかできないけど」
煙幕から離れ始めたグレートヒェンは、外套の内側から何かを取り出しつつ呟く。
「時間稼ぎ位なら‼」
グレートヒェンは手の中にある青い石を幾つか放り投げた。
術式が刻まれている青い魔石は光の糸で繋がり、さらに光の糸を広げていってあっという間に簡易的な防御結界を作り出す。
これで暫くの間はあの精霊の足止めはできるはず、とグレートヒェンは足跡を頼りに真冬の森を駆け出した。

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