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緋い魔女 Act 19

「”あれ”でしたら、多分書庫の辺りにでもいるでしょう」
最近はああいう所に隠れてたりもするんでねぇ…と言って、屋敷の主人はグレートヒェンに向き直る。
「にしても、昼間”あれ”が勝手な行動を…」
申し訳ありません、元々ああいう奴で…と屋敷の主人は面目なさそうに言う。
それに対してグレートヒェンは、謝ることかしら?と首を傾げる。
「…別に、正式な主従ではないのだから、あれ位気にすることでもないと思うわ」
むしろ、とグレートヒェンは屋敷の主人の目を見ながらにこりとする。
「あんな性格だから、今まで多くの魔術師に盥回しにされてきたのねって、よーく分かったわ」
屋敷の主人は驚いたような顔をする。
グレートヒェンは気にせず話を続けた。
「様々な魔術師が大金やら何やらをはたいて自分の物にしては、その癖の強さに耐え切れず、無理に主従として契約しようにもすぐ魔術師が契約を切る代物…」
全く、噂通りだったわ、とグレートヒェンはクスクス笑う。
「そして貴方も、その癖に耐え切れず、従えられないまま…」
グレートヒェンの言葉に、屋敷の主人は恥ずかしそうに俯いた。
「…ふふ、まぁいいわ」
決まりが悪そうにする屋敷の主人を見て、グレートヒェンは話を切り上げて立ち上がる。
「それじゃ、今日はもうお休みさせて頂くわね」
グレートヒェンはそう言うと、屋敷の主人に小さく手を振って廊下へと去って行った。

  • 緋い魔女
  • なんか気づいたら以前投稿した部分を越えていた
  • という訳でこの辺から新規書き下ろしです
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